当時、フルギアの最終試合が2011年に開催された全日本ジュニアパワーリフティング選手権大会でしたが、その後はノーギアパワーリフティングに傾倒する事になります
しかし、日に日に全日本パワーリフティング選手権大会で優勝したいという気持ちが強くなり、3年間のブランクを経て2014年からフルギアパワーリフティングを開始するのでした
エナスキンジャパンのアンバサダー就任 |
ハリー着用モデル・股関節周りのテーピング保護でブレの無いスクワットを! |
東京都パワーリフティング選手権大会に出場
まずは全日本パワーリフティング選手権大会に出場する為に、地方大会で標準記録を獲得しなければなりません
慣らし運転を兼ねて4月に開催された東京都パワーリフティング選手権大会出場の為に、2ヵ月間掛けてピーキングを開始していきます
デッドリフトの全盛期
今でこそデッドリフトが直近の大会で255㎏という数字で落ち着いておりますが、当時はノーギアデッドリフト260㎏5repを行えており、過去最高値を記録しておりました
その時の模様は以下の動画からご覧いただけます
ノーギアの力は十分にあったので、そのままデッドリフトスーツを着用して更にパワーアップする事になります
デッドリフトスーツを着用すると、通常のノーギア通りのフォームを組む事が困難で、非常にコントロールが難しくなります
どのくらい難しいかと言うと、シャフトを握れなくなる位に身体がガチガチに固まります
その分、ボトムからの反発は凄まじく、上手い人だとノーギアのプラス30㎏程度扱う重量が増える選手もおります
ハリーの場合、プラスされる重量は10㎏~20㎏程度の範囲でした
ジュニア時代と異なりノーギアフォームが安定していたので、必然的に効き幅が大きくなっており、最終ピーキングでは290㎏を引ききるまでに仕上りました
東京都パワーリフティング選手権大会の作戦
全日本パワーリフティング選手権大会では、2連覇中の荒川選手との一騎打ちになる事が予測されておりました
荒川選手は長年ノーリミッツの選手でしたので、三土手オーナーは荒川選手のタイプを熟知しています(現在はゴールドジムバーベルクラブ所属)
その事から、以下の作戦で東京都パワーリフティング選手権大会に挑む事になります
『荒川選手は対戦相手のトータルを逆算してピタリと仕上げてくるので、ハリーの力量は隠した方が良い』
三土手オーナーとの話し合いの結果、スクワットとベンチプレスは流す
デッドリフトは本気で行う、という方向性になりました
スクワット
第1試技280㎏、第2試技310㎏と軽々成功しました
第3試技はパス
ハリーはフルギアスクワットで使用するスクワットスーツは使いこなしが上手く、当時のノーギアマックスが255㎏でしたので、おそらく70-80㎏の効き幅はあったと思います
これはひとえに、三土手オーナー魂のニーラップ巻きがあったお陰というのは言うまでもありません
ちなみに試合会場は武田ストレングスコーチ率いるパワーリフティングジム“TXP”で、通常の体育館と異なり密集度が高かったので、その分観客の熱を感じやすい環境でした
310㎏のスクワット成功で会場はどよめきました
その時は動画はこちらです↓
ベンチプレス
ベンチプレスで用いるベンチシャツは非常に扱いが下手なハリー
上手い人だと100㎏以上効かせますが、せいぜいその半分程度の効き幅でした
第1試技210㎏、第2試技225㎏と控え目な数字で着地しました
第3試技はパス
第2試技の動画はこちらです↓
デッドリフト
デッドリフトはフルパワーで挑みます
第1試技260㎏は軽々成功
第2試技は自信の表れで30㎏ジャンプする290㎏を申請
床のコンパネが引きながら外側にずれるというハプニングが発生しますが、まったく影響なく引ききりました
290㎏の動画はこちら↓
そして第3試技は300㎏チャレンジ
あと少しで成功という場面でグリップが持たずに失敗しましたが、十分射程圏内である重量という認識で、改めて全日本パワーリフティング選手権大会に挑むのでした
そして全日本に
富山県で開催された2014全日本パワーリフティング選手権大会
富山空港から徒歩2~3分で会場の体育館に到着するという好アクセスです
会場の雰囲気が大変よく、ハリーが出場した大会でも3本の指に入る良い環境でした
アップ場はこんな感じで黒Tシャツを着た荒川選手の視線を感じます

ノーリミッツ高橋トレーナーによるコンディショニング中

スクワット
ハリーは東京都パワーリフティング選手権大会での310㎏をスタート重量に持ってきてエンジン全開
310-320-327.5と綺麗な3本取り

荒川選手は×290-290-310とスタートで失速しました
今大会は珍しくハリーの体重が90㎏台、荒川選手が91㎏台でハリーの方が体重で有利です
スクワットでは17.5㎏差ですが、体重差での有利も考えると実質20㎏差が付いた事になります
ベンチプレス
スクワット同様に東京都パワーリフティング選手権大会での225㎏をスタート重量
効き幅が狭い中でも刻んでいく、ハリーは225-232.5-237.5と3本成功

荒川選手は220-230-×235と更に差が広がりました
サブトータル、当時の心境を振り返る
- ハリー 565
- 荒川選手 540
体重差も考慮して実質27.5㎏差です
前述の通り、この時のハリーデッドリフトは弱点では無く、290㎏を成功させる位の大きな武器でした
荒川選手は過去に300㎏以上を成功させていますが、ここでは27.5㎏差が付いています
圧倒的アドバンテージでしたので、
『これは勝った…!』
とハリーは考えて一気に気が緩む事になります
しかも、今大会で優勝するとある企業がスポンサーになる事が決定していたので、早くもその時の為に写真撮影を始める始末
完全に勝負から心が離れてました
そんなハリーの状況と一転して、虎視眈々と荒川選手が逆転の目を狙っているのでした
デッドリフト第1試技
- ハリー270㎏成功
トータル835㎏

- 荒川選手270㎏成功
ハリーと同重量で様子見、トータル810㎏で27.5㎏差は変わらず
デッドリフト第2試技
- ハリー280㎏失敗
デッドリフト第1試技が終わった段階で27.5㎏差があったので、優勝した心境になっておりました
第2試技に向かう際に炭マグの滑り止めを手に付けながら、以下の事を考えていたと今でも記憶しています
『予定より早く終わるから今日は宿泊しなくて良かったな。夜ごはん何食べようかな。やはり富山名物のブラックラーメンにしよう』
これが全日本で試技真っ最中に考えていた事で我ながらアホです
もう完全に上の空だったので、ちょっとした油断からここまで280㎏を引きながら落としてしまうという大失態

- 荒川選手297.5㎏成功
トータル差27.5㎏を一気に埋める297.5㎏をスムーズな引きで成功させました
最終試技前の順位
- 荒川選手 837.5㎏
- ハリー 835㎏
完全にやってしまいました
優勝気分が一転、完全に追い込まれる事に
荒川選手の逆転劇に会場のテンションはヒートアップ
ハリーは第2試技で挑戦した280㎏を失敗すると敗北が確定してしまいます
ハリー・デッドリフト第3試技
- 280㎏成功
起死回生の試技で引ききり成功を祈るハリー
判定は白で逆転しました


- ハリー 845㎏
- 荒川選手 837.5㎏
追い込まれた状況から一気に10㎏差と超有利な展開
しかも、荒川選手がこの差を埋めるには307.5㎏を成功させなくてはいけません
いくらデッドリフトが強い荒川選手でもさすがにこれを成功させる事は無いという気持ちと、第2試技297.5㎏の引きがスムーズだったので引ききるかもしれない、という両極端の気持ちを抱いたまま、最終試技を見守る事になります
荒川選手・デッドリフト第3試技
- 307.5㎏
ファーストプル

フィニッシュ

そして成功
こうして先ほど広がった10㎏差を埋め返した荒川選手が、最終試技で逆転するという劇的な展開で2014全日本パワーリフティング選手権大会93㎏級は幕を閉じました
- 荒川選手 847.5㎏
- ハリー 845㎏
今回得た教訓
『試合中に夜ご飯の事を考えてはいけない』
振り返ると第2試技直前にブラックラーメンの事を考えて集中力が欠如した事が、最大の敗北理由だと思います
それ以降、大会日の夜ご飯は終わってから考える事にしたハリーなのでした
その後
2014全日本パワーリフティング選手権大会は、高速補助団が大活躍した甲斐もあり、当初の予定よりも大幅に早い時間で終了しました
飛行機の時間を考慮して宿泊を選択してたハリーですが、僅差で敗北し一人富山の夜に残されたハリーの悔しさは今でも覚えています
普通に余裕で帰れたのに敗北した土地に1日留まらなければならなかった訳ですね
もちろん、ホテルにチェックインして直ぐに敗北の要因となったブラックラーメンを食べに行くのでした
この時の悔しさを忘れない為に行ったのは、荒川選手の逆転デッドリフト307.5kgの写真をハリージムに飾り、1年後の2015全日本パワーリフティング選手権大会の当日に写真を外すという徹底ぶり
その甲斐もあり荒川選手には勝ちましたが、他の選手2人に負けて順位は更に落ちて3位となりましたとさ
めでたしめでたし
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